御塩焼固(御塩殿)2017年03月

2017年03月04日(土) 御塩焼固(御塩殿)2017年03月 (車、徒歩)

伊勢の神宮では自給自足を旨としている。

皇大神宮所管社である御塩殿神社、その隣の建つ御塩殿では神嘗祭をはじめとした各種祭典にて使用される御塩が奉製される。それは毎日執り行われるのではなく年に二回、各5日間である。

昨年の夏に御塩浜にて採鹹された塩水(鹹水)をもとに焚き上げら(御塩焼きさ)れた荒塩が御塩殿の右奥にある御塩倉に保管されている。御塩焼固ではその荒塩が御塩殿にて堅塩に仕上げられる。

御塩浜での採鹹作業〜御塩焼所での荒塩つくり(御塩焼き)については過去の記録を御覧いただくこととし、ここでは今回の御塩焼固(初日)の様子をまとめた。

 

【参考】 2016年、御塩浜での採鹹作業ほか

【参考】 御塩道 (御塩焼固にて完成した堅塩が外宮斎館へと運ばれる経路)

 

御塩殿神社に到着したのは午前8時半頃だった。御塩殿神社の鳥居をくぐると右手には大きな手水石が据えられている。ただし、御水は張られていないので、こころのなかで手水を受ける。

御鹽殿の手水石、御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

御鹽殿の手水石、御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

 

御塩殿の前にはカメラマンと知人(いつも神宮の祭典でお会いする)が待機していた。鳥居をくぐるとまず最初に向ったのは御塩殿の左手に建つ御塩殿神社だ。お参り。

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

 

お参りを終えて振り返ると思わず呼ばれた気がしたのでパチリ。

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)付近

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)付近

 

御塩殿の前へ戻り知人と挨拶を交わすと御塩殿の中では御塩焼固にて奉仕する喜多井さんが準備に忙しそうだった。

御塩焼固の準備、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の準備、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩焼固の作業は神職が到着後、午前9時くらいに開始されるそうだったので、御塩殿神社の裏手にある御塩汲入所、御塩焼所を巡ってから裏門へ至った。こちらは裏門に設置された「注意」の看板。裏門は御塩焼きと御塩焼固の際に開けられる特別な門だ。

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)の裏門付近

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)の裏門付近

 

しばらくすると裏門から神職が車で到着した。支度を整えるとついに3月の御塩焼固が開始された。神職は御塩殿神社にて拝礼すると、

御塩焼固の開始、御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

御塩焼固の開始、御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

 

御塩殿に移り、最初の作業にとりかかった。それは忌火をおこす御火鑽りの作業だった。ヒノキの板にヤマビワの木(軸)を押し当てながら回転させ激しく揉むことにより発火させる原始的な火起こし術だ。

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

 

天候や素材などさまざまな条件で火起こしの容易さは変化するとのこと。

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

 

取材者と拝観者に見守られながら

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

 

忌火が大きく立ち上がった。(私は写真に収めることはできなかったが、この目には・・・)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固の御火鑽り、御塩殿(御塩殿神社)

 

忌火が御塩殿の竈(かまど)へ移されるとその中では薪が燃え始めた。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

しばらくすると薪が燃える音とともに煙が漂い始めた。

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩殿には煙突が無いため、煙は両妻の上部に開けられた穴から天井を伝って吐き出される。

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

 

そのためだろうか、茅葺きの屋根全体から煙が漂い出すような不思議な光景を見ることができる。

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固に際し屋根から漂う煙、御塩殿(御塩殿神社)

 

竈の火勢が安定した頃、喜多井さんが堅塩つくりの作業を開始した。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

多気郡明和町蓑村にある神宮土器調整所から運ばれた粘土で作られた三角錐の土器に荒塩を詰める。少量の荒塩を木杓子土器へ移し、棒でしっかりと押し込むことを繰り返す。土器の縁まで荒塩が詰め込まれると上部(三角形の面)が平らになるように仕上げる。これで一個の準備を終える。今日は二十個、この作業が繰り返された。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

報道陣らが取材を終えても作業は続けられる。(当然だが)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

作業に集中する喜多井さん。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

朝は曇りがちだった空も今になっては晴天となっていた。

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)にてオミアゲ写真

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)にてオミアゲ写真

 

荒塩が詰め込まれた土器は数個ずつ竈の上へと運ばれた。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

私もタイムリミットは迫ってきたので、全ての作業を拝観することができずに御塩殿を後にすることになった。

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

喜多井さんに御礼を述べると

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

御塩焼固、御塩殿(御塩殿神社)

 

御塩殿を後にした。

御塩殿(御塩殿神社)

御塩殿(御塩殿神社)

 

そして、新しい知人(FBF)がまたひとり。

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

御塩殿神社(皇大神宮 所管社)

 

こちらは、御塩焼固を拝観するといただける冊子。御塩つくりについてまとめられた素晴らしい冊子で、神宮の広報誌瑞垣 第183号からの抜粋で、著者は神宮の権禰宜である吉川竜実さんのようだ。吉川さんはTVや祭典でもよくお目にかかるので、この冊子にもさらに親しみがもてる。

神宮の御塩(神宮広報シリーズ(三))

神宮の御塩(神宮広報シリーズ(三))

 

なお、今回の御塩焼固の作業は3月8日まで続けられ、4日目(3月7日)と終了日の翌日(3月9日)には完成した堅塩が外宮へと護送される。護送の時間帯は午前8時半〜9時の間だろうか。ただし、その時の都合で護送時間は変動する。

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