2015年07月20日(月) 弓馬術礼法小笠原流 古式歩射 三三九手挟式(山田奉行所記念館) (徒歩)
空は夏の日差しを取り戻し、立っているだけでも汗が出た。近所にある山田奉行所記念館では、伊勢市制施行10周年記念および山田奉行所記念館開館10周年記念事業として
『弓馬術礼法小笠原流 古式歩射 三三九手挟式』
が実施された。
わかり易くなった案内板に従って山田奉行所記念館へ向かうと
この看板がたっていた。
ほどなく、記念館に到着すると
その門には高札が掲げられていた。
『急告・・・』、本日は特別なイベントのため午後二時までは見学停止となっている。と・・・
三三九手挟式の参加者が衣装を着替えるなど準備のために使用されるのだろう。式の開始30分ほど前に到着したのでどうしようか? 近くの宮川堤防道路へと向かうと宮川と空を眺めた。
下流方向へ進むと南国のリゾートを思わせる風景・・・(写真は恐ろしい、フレーミングで対象が化けてしまう)
宮川を背にすると現実に戻り、こちらはこれから三三九手挟式が開催される山田奉行所記念館の全景。
開始が迫ってきたので会場となる記念館の駐車場へ戻ると予想よりも人の出は遅かった。
受付で資料をいただいた。次は資料よりの抜粋、
【小笠原流とは・・・】
小笠原家は礼法の家として広く知られているが、本来は弓馬の武術であり、礼法は家伝の弓馬術の基本動作をまとめ武家社会の作法としたものである。礼法、弓術、弓馬術の三つを修めることが必要であり、その修行の過程を大事としている。【三三九手挟式とは・・・】
杉の板的を用い、前弓の板的の裏には十文字の切れ目が入り、後弓の板的の裏には3寸ごとの井桁の切れ目が入る。この板的を串に挟んで立てたものを射抜き、井桁の数から三三九手挟式といわれている。【進行】
11:00 三三九手挟式 開始
日記役(市長)より始まりの合図
歩射(前弓)
歩射(後弓)
日記役(市長)より結果の通知
12:00 三三九手挟式 終了【参考】
弓馬術礼法小笠原教場
http://www.ogasawara-ryu.gr.jp/
今回は動きが重要な式なので動画を多用しようと三脚まで用意して臨んだのだが、最初から動画の撮影に失敗していた。まずは、参加者の入場。全員が配置に着くと 三三九手挟式が開始された。
配置としては的(水色の幕が張られている場所)に近い席で右側は日記席、左側は的立役席。伊勢市長の鈴木健一さんが日記を担当していた。そして、的から遠い側の右側には前弓(まえゆみ、先攻組)、左側には後弓(あとゆみ、後攻組)、そして各弓の大将が的に対峙した形で配置されている。三三九手挟式は前弓と後弓が点数を競う勝負となっている。ただし、的に矢を当てればよいと言うものではなく、決められた作法に反すれば得点が取り消されることもある。
身体の向き、足の運び方など作法は詳細に決めら、専門用語も多く私には解説できない。
ここでは、三三九手挟式の雰囲気だけでもお伝えできれば・・・
参加者全員が配置に着くと式は開始された。
まずは、日記役(今回は鈴木市長)による始まりの合図。
【動画】 47秒( 3.8 MB ) 風が強く風切り音がうるさいがご容赦を
射手は懐紙を懐から取り出して足元に
さらに、扇も足元に置いた。
まずは先攻である前弓の大将を除く四名の射手が的に向かって横に並んだ。
【動画】 46秒( 3.7 MB )
配置が完了するとまずは紐を解いて
身体に巻き、続いては矢を射る所作の邪魔にならないように左袖を抜いた。
射手はひとりずつ矢を放ち、終えるとローリングするように場所を入れ替わる。なお、矢は射手ひとりに付き二本。大将も含めると10本の矢での勝負となる。ただし、大将の矢は得点が二倍となる。
まずは前弓、大将を除く四名の歩射。
【動画】 46秒( 3.7 MB )
【動画】 28秒( 2.2 MB )
矢が放たれた・・・・・
残念ながら前弓は的を射ることができなかった。
続いては後弓の登場。
四名の所作が揃っていた。
こちらが的を取り替えれる的立て役で
この方は矢を回収していた。それぞれにも所作が決められているのだろうか?
次々と矢は放たれた。
使う道具にも格があり、取得した資格により使用制限があるとのことだった。
見比べてパチリ。
この子たちもかぶりつきで注目。
「惜しい!」
【動画】 26秒( 2.1 MB )
四名が挑み、二回的を射ることができた。後弓は二十点。
回収していた矢が返された。
そして、最後は大将戦、前弓 v.s. 後弓(零点対二十点)の状況だが、大将は一矢で二十点。逆転も可能だ。なんかTVのクイズ番組の最終問題のようでもあるが・・・。
当事者は真剣である。先ほどの四名と同様の所作にて矢を射る準備が進められた。
大将二名が配置に着いた。
紐を解いて身体に巻きつけると
左袖が抜かれた。
【動画】 1分08秒( 5.4 MB )
まずは、前弓、
【動画】 2分26秒( 11.6 MB )
後弓の大将が矢を放つと
矢は勢い良く飛び
見事に的を射た。
大将戦は後弓が二十点。
大将が席へ戻ると
弓が返され
すべてが終わった。
日記役により結果が通知されると
参加者は会場を後にした。
日記役を先頭に的立て役・・・、その間勝った後弓は立った状態で、負けた前弓は蹲踞(そんきょ)した状態で・・・、何と勝負は厳しい。こんなところで差をつけるとはある意味洒落ている。
退場の様子はこちら。
【動画】 2分07秒( 10.1 MB )
私が帰る頃、山田奉行所記念館の入口付近では記念撮影の最中だった。
動画をご覧になられた方は風切り音で当日の風の強さを感じることができたことでしょう。その中での歩射は大変はこと、よく三本も命中したものだ。
貴重な見学だった。