2016年08月08日(月) 御塩焼所での荒塩の焚き上げ作業(御塩焼き)、御塩殿神社(皇大神宮 所管社) (車、徒歩)
今年も御塩殿神社にある御塩焼所にて荒塩が焚き上げられる時が来た。伊勢神宮では神さまにお供えする御料としてお米、野菜、鰒、干鯛や神御衣(絹布、麻布)、さらには土器まで独自で自給自足している。そのために御料地として独自の神宮神田、神宮御園、鰒調製所、干鯛調製所、土器調製所、両機殿を有し、多くの奉仕者が御料の調製に汗を流している。
御塩も御料として調製されるのだが、御塩は修祓の清めにも使用される御料のなかでも特別な存在である。
【参考】
夏の土用の頃になると五十鈴川の下流部に位置する御塩浜(伊勢市二見町西)では五十鈴川から引き込んだ薄い塩水(伊勢湾の海水と五十鈴川の淡水が微妙な加減で混じりあった)を鹹水(濃度が高い塩水)として採取する採鹹作業が実施される。そこで採取された鹹水は御塩殿神社(皇大神宮 所管社、伊勢市二見町荘)の裏手にある御塩汲入所へ運び込まれる。そして、その鹹水は御塩汲入所の隣にある御塩焼所にて二日間で焚き上げ(御塩焼き)られ荒塩として仕上げられる。
ただし、御塩はこれで完成ではなく、御塩殿神社の隣にある御塩殿にて堅塩として焼き固められることにより調製を終え、祭典に供される。
今年の採鹹作業はこんな感じだった。
【参考】 2016年、御塩浜での採鹹作業ほか
- まもなく採鹹作業開始?(御塩浜) 2016年07月17日
- 五十鈴川から塩水が引き込まれた御塩浜(伊勢市二見町西) 2016年07月18日
- 採鹹作業が始められた御塩浜(伊勢市二見町西) 2016年07月21日
- 早朝に強雨が降った御塩浜(伊勢市二見町西) 2016年07月23日
- 本日も採鹹作業、早朝の御塩浜(伊勢市二見町西) 2016年07月25日
- 御塩焼所(御塩殿神社)での御塩焼き(荒塩の焚き上げ作業)、その予定は・・・ 2016年07月28日
- 御塩浜にて「浜をよせる」・「潮をおそう」(伊勢市二見町西) 2016年07月31日
- 御塩浜から御塩汲入所へ運ばれていた鹹水の樽(御塩殿神社) 2016年08月06日
今年の荒塩の焚き上げ作業(御塩焼き)は8月8日から9日にかけ2日間で執り行われた。
終業後に御塩殿神社を訪れると暗闇の中で参道を進むとお参り。御塩殿神社から御塩殿の前を過ぎると斎舎前から奥へと続く小道を・・・、足元に砂地の感触があった。懐中電灯も持たない私は足の感触と暗闇慣れた目に映る微妙な風景を頼りに御塩焼所へ近づいた。
暗闇は続いているがしばらく進むとその先に明かりが見える。まさに今夜しか見られない光景、つまり年に一夜しか見ることのできない光景である。左側が御塩焼所で、右側が御塩汲入所。
御塩汲入所の中にには鹹水を貯水するための大きな壺が並んで埋め込まれている。
今はこの壺の鹹水が焚き上げられているのだろう。
御塩焼所の前には多数の報道陣が陣取っていたので、少し離れたところから拝観した。
訪れたタイミングが良かったようで、今まさに焚き上がるところだった。
程よい状態となった塩は平釜から「いだし場」へと引き上げられた。
いだし場にて余分な水分が落とされると手前に置かれた俵に詰められる。この俵は麦藁と稲藁を半々で編んだもので苦汁が麦藁をつたい落ちるようにできているそうだ。俵詰めされた荒塩は御塩殿神社の右奥にある御塩倉へ移されると10月に執り行われる御塩焼固を待つことになる。
平釜からなんども荒塩が引き上げらた。
これで最後?
全ての荒塩が引き上げられて平釜が空になると、次の焚き上げのために新たに鹹水が注がれる。
平釜が鹹水で満たされると
「???」
ボーメ度を測っているのだろう。塩分濃度によっても焚き上げ時間と量が異なるのだから・・・。
次回の焚き上がりまで約3時間半とのことだった。
しばらく平釜の周囲には人影はなくなった。空には星がキラキラ。しかし私の周りには多数の蚊がぶーんぶーん。この場で殺生はできないので、追い払うだけで精一杯、何ヶ所刺されただろうか。
いだし場に取り上げられた荒塩もかなり流れた状態になり、水分が分離されていた。
長袖のシャツを着ていたのだが、手の甲を何ヶ所も蚊に刺されると、荒塩を俵に詰め込む作業まで待てなくなてしまった。
改めてこの場を再確認すると御塩殿神社を後にした。次回は手袋も持参しよう!
【参考】 御塩全般について