戸川覚写真展「阿仁根子」(伊勢和紙ギャラリー)

2015年03月14日(土) 戸川覚写真展「阿仁根子」(伊勢和紙ギャラリー) (車、徒歩)

神宮の神札等の御用紙を奉製している大豊和紙工業株式会社(伊勢市大世古)では、インクジェットプリンタでの印刷にも伊勢和紙の活用を推進している。同社に併設された伊勢和紙ギャラリーでは伊勢和紙を利用した写真展が時々開催される。いつもハズレがないため、私のお気に入りのギャラリーとなっている。

【参考】

など・・・

今回の写真展が開催されていることを知らずにいたら、友人が教えてくれた。しかし、訪問できるのは最終日の今日だけ。そのため、風宮での後鎮祭の拝観を終えると月夜見宮経由で伊勢和紙ギャラリーへ向かった。

 

月夜見宮を出ると右方向へ進み、信号のある交差点をさらに直進すると次の道標がある。山田の世古のひとつである大世古への案内道標だ。

山田の世古のひとつ、大世古への道標

山田の世古のひとつ、大世古への道標

【参考】

 

大世古を進む雰囲気の良い建物が見えてくる。こちらが大豊和紙工業株式会社の建物で、この二階に伊勢和紙ギャラリーが併設されている。ただし、入口はさらに先。

大豊和紙工業株式会社(伊勢市大世古)

大豊和紙工業株式会社(伊勢市大世古)

 

さらに進むと左側に御師邸跡の石碑があり、

「御師龍大夫跡」の石柱(大豊和紙工業株式会社敷地内)

「御師龍大夫跡」の石柱(大豊和紙工業株式会社敷地内)

 

さらにその先に入口がある。

伊勢和紙館、大豊和紙工業株式会社の入口

伊勢和紙館、大豊和紙工業株式会社の入口

 

入口にある看板の隅には今回の写真展のポスターが貼られていた。

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)のポスター

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)のポスター

 

入口を入ると左側の細長い建物の隅に伊勢和紙館。この前に続く道をまっすぐに進み

伊勢和紙館(大豊和紙工業株式会社)

伊勢和紙館(大豊和紙工業株式会社)

 

神社の前を過ぎると

伊勢和紙ギャラリー付近(大豊和紙工業株式会社)

伊勢和紙ギャラリー付近(大豊和紙工業株式会社)

 

突き当りが伊勢和紙ギャラリー。先ほどの道路からぐるりと回ってきたことになる。

伊勢和紙ギャラリー(大豊和紙工業株式会社)

伊勢和紙ギャラリー(大豊和紙工業株式会社)

 

格子戸をガラガラと開けると、大豊和紙工業株式会社 社長の中北喜得さんが直々に迎え入れてくれた。

今回、写真家の戸川さんがお見えでなかったので会場の雰囲気を撮影する機会を得ることができなかったが、今回も期待通りの素晴らしい写真展だった。(実は、閉館近くに訪れれば、戸川さんにお会いできたと友人があとで教えてくれた。もう一度訪れるべきだった。後悔)

 

この写真展は写真だけでなく、写真の下に文章が添えられる、いや写真と同等の存在感で示されていた。写真だけも胸に迫るものがあるのだが、その文章を読み込むと写真がさらに素晴らしさを増していった。この場にどれくらい居ただろうか。知らぬ間に時が過ぎてしまった。

会場の写真は撮影できなかったので、私が書き留めた文章の一部でその雰囲気を感じとっていただければ・・・(間違いがあれば、ご容赦を)

戸川覚写真展「阿仁根子(あにねっこ)」
根烈竹を中心とした小高い山々に囲まれすり鉢状に窪んだ土地、根子(Nekko)集落
この土地は隠れるように暮らすために相応しい土地であった。
槍と刀の血はこの地で出会い共に生きていくことを決めたのだろう。マタギは武士となり、武士はマタギとなった。
ただ、根子が純粋な農村と異なったのはマタギの誇りである冬の仕事、狩を決して忘れないことであった。
マタギたちは何よりも自然との関わりを無くしてしまうことを恐れた。集落の戸数が八十戸を超えると人と自然の関わりが壊れてしまうと人の数が増えれば新しい土地を求めた。
この地の風土はあまり崩れることなく受け継がれてきた。
根子の人々は源平の時代にあった武士の誉をこの先も忘れないために土臭いその姿を表現し、それらを語るとき村を清め、天地に対する礼儀を尽くした。そのことは、今に残る郷土芸能「根子番楽」という唄と舞となり子孫へと伝承されている。

 

また、戸川さんにお会いしてお話を伺った友人からの受け売りによると

根子のマタギの神様である山の神を祀っているのが根子山神社(サンジンジャ)であり、4月8日に行われる山神社の祭りでは社前で「根子番楽」が奉納されていた。「根子番楽」は現在も継承されているがそれは場所を変え、阿仁公民館根子分館(旧根子小学校)で演じられている。戸川覚さんは人と自然と動物が共に暮らす環境を求めて根子に興味を抱き、数年通い地元に溶けこむと子供たちにも刺激を与えた。そして、彼の熱意により実現したのが山神社の社前での「根子番楽」の奉納、しかも一度きり。それを撮影したのがこの写真展で紹介された写真だった。

 

この写真展の順路の最後には、『東京写真月間2014「阿仁根子」戸川覚さん写真展によせて』と題して、根子番楽保存会 顧問である佐藤二朗さんから戸川覚さんに対して多大なる感謝の言葉が寄せられていた。

 

なお、「根子番楽」についてはネットで検索すると多数の情報を目にすることができる。

 

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)の説明

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)の説明

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)の説明

戸川覚写真『阿仁根子』(伊勢和紙ギャラリー)の説明

 

 

【 20150314 の記録 】

風宮の遷宮諸祭儀

 

その他

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です