2015年06月28日(日) 仮遷座のために移設される社殿(松下社) (車、徒歩)
伊勢市二見町松下に鎮座し、素戔嗚尊、菅原道真他不詳一座をおまつりする松下社を訪れた。鳥居をくぐると見慣れない状況、現在の社殿を隣の空き地へ移設する作業の真っ最中だった。松下社は今年に遷座祭を斎行することは知っていたのだが現行の社殿を移動するとは・・・。
【参考】
- 新遷の準備が始まった松下社(伊勢市二見町松下) 2015年04月26日
こんなことが起こっているなんて全く知らずに松下社を訪れた。その経緯は次の通り。
- 企画展『美し国・伊勢志摩の海の幸を天照大神に奉納する「贄海(にえうみ)神事」と四郷』が開催されている四郷地区コミュニティセンターを訪れる予定だった。
- しかし四郷地区コミュニティセンターは9時開館、まだ時間が早かった。
- どうしようかと考えたところ先日に鑑賞した田丸城址内堀の大賀ハスを思い出した。
- 田丸城址内堀の大賀ハスを見に行ったのは民話の駅 蘇民に咲く大賀ハスの記事を見たからだった。
- それなら民話の駅 蘇民に咲く大賀ハスを見に行こう。
- 民話の駅 蘇民の隣に鎮座する松下社は今年に新(神)遷だからちょっと寄ってみよう。
1から6のいずれかひとつでも欠けていたらこの場所にはいなかっただろう。
松下社に到着。手水所にて心身を清めると鳥居をくぐった。
いつもと雰囲気が異なる・・・(あれ?)
拝殿前から社務所へは足場用の鉄パイプを利用した雨儀廊が鋪設されていた。
拝殿へ入ると御垣も御門も無くなり社殿があらわになっていた。
社務所へ移動するとこの状態。仮遷座が斎行されたのだろうか? 疑問に思いつつ、
社殿の右側の空き地へ向かうとこんな状態になっていた。(私の頭の中は???な状態に・・・)
状況が把握できずにしばし呆然としていたが、目の前では作業が続けられていた。すると私の近くでは携帯電話で昼食を予約している声が聞こえた。この方に伺えば状況を把握できる。私は男性が電話を終えるのを待ち構え、終わるやいなや挨拶するといきなり質問した。「おはようございます。お参りにうかがったのですが・・・、今どうなっているのか状況が飲み込めません・・・、教えてください」と。
その方は丁寧に説明してくれた。要約すると、「10月の御遷座に向けて昨夜に社務所へと仮遷座が執り行われた。されら今夜は移設された社殿へ仮遷座が執り行われる。そのために現行の社殿を隣へ移動している。この方式は以前から続けられている。新しい社殿への遷座祭は10月24日に遷座祭、翌日25日に奉祝祭を予定している。」
つまり、社務所への仮遷座を終えて神様がいない社殿を隣の空き地へ移設し、移設された社殿へ改めて(仮)遷座する。御敷地にて新しい社殿の御造営が完了すると現行の社殿から新しい社殿へ御遷座となる。
こんな方式を採用した御遷座は私にとって初体験だった。今までの経験では小さな仮殿を新設する、別の社殿を仮殿にする、社務所を仮殿にする、さまざまな仮殿を見てきたが現行の社殿を仮殿にするなんて・・・。仮遷座というよりも社殿ごと敷地を移動した感覚だ。
私にとっても初体験の社殿の移設作業、興味深く見入ってしまった。お参りのために立ち寄ったが結局移設が完了するまでこの場にとどまってしまった。
本殿の横では
御垣を移動する準備が進められた。
そしてクレーンで吊り上げられると
先に移設されていた御門の垣へと接続された。
「お見事!」
脇にある出入口の扉は正常に機能。
本殿へ戻ると、その下に供えられている大きな榊巻に白いシートが掛けられようとしていた。
手こずりながらも榊巻は白いシートですっぽりと覆われた。
こちらが移設中の空き地。
このクレーンで移設が進められた。よくここまで入ってこれたものだ。
クレーン自体がかなり重いのだろう。タイヤの跡はかなり凹んでいた。
次は本殿の移動。準備に時間が掛かりそうだったので境内を散策。三重県天然記念物に指定されている大クスの近くから作業中の拝殿方向をパチリ。
また、こちらは境内の14ヶ所に供えれている榊巻。御遷座の年に一新されるまで毎年新たに榊が追加されどんどん太くなる。
【参考】
- 松下社の榊巻(さかきまき) 2011年01月22日
散策を終えて作業現場へ戻ると社殿を移設する準備がかなり進んでいた。
社殿をクレーンで吊り上げるために社殿の下には太い角材が前後、左右に井桁に組まれた。
さらに土中に建込まれている柱を切断するために、チェーンソーを入れる位置をチェック。
さまざまに検討を重ね、じっくりと時間を掛け
棟持柱も吊り上げる準備が完了すると
クレーンが動き始めた。
社殿を吊るか吊らないかの微妙な状態のなかで柱が順に切断された。
水分を含んでいた社殿は予想以上に重かったのか?
こちらは移動中の様子を動画で紹介。
【動画】 2分01秒( 9.6 MB )
社殿は御敷地を離れると無事に移動され
御門の後ろへと・・・
そして予定されていた位置へと降ろされた。
吊り上げるために取り付けられていた角材等が外された。新たに社殿が造営されたような光景だった。
階段もクレーンで本殿の後を追った。
御敷地には大きな榊巻と土中に埋まっている柱が残されていた。
残りの御垣も移動し、
仮殿の左側へ。
これで社殿の移動が完了した。御門の扉も正常に機能していた。(お見事!)
この場所に新しい社殿が御造営される。楽しみだ。
御鑰はどうなるのだろう?
今夜に仮遷座が斎行されるとのこと、お誘いいただいたが翌日は朝から健康診断だったので残念ながら辞退した。(軟弱?)
10月の遷座祭、奉祝祭を楽しみに松下社を後にした。
その前に御造営中の様子を見学に訪れるだろう!
【 20150628 の記録】
- 仮遷座のために移設される社殿(松下社)
- 見頃な民話の駅・蘇民の大賀ハス(伊勢市二見町松下)
- 企画展『美し国・伊勢志摩の海の幸を天照大神に奉納する「贄海(にえうみ)神事」と四郷』(四郷地区コミュニティセンター)
- 夏越の大祓、茅の輪くぐり(船江上社)
- 河原淵神社(豊受大神宮摂社)より撤去された賽銭箱