2014年12月20日(土) 第5回斎宮跡復元建物工事見学会、檜皮葺き作業の実演(明和町斎宮) (車、徒歩)
斎王が三節祭(6月および12月の月次祭、神嘗祭)に神宮へ赴いて神事に奉仕するために潔斎の日々を過ごした斎宮(三重県多気郡明和町斎宮)。斎王寮の遺構では主要な建物の復元工事が進められている。
以前、次のつどいに参加したことがあり柳原区画の整備には興味を持っていた。
【参考】
- 第三回 斎宮跡の史跡整備を語るつどい 2011年01月15日
建物の復元工事が開始されるとその節目では何度も見学会が開催されていたのだが予定が合わずに参加できずにいた。今回は5回目、建築の現場見学に加えて檜皮葺き作業の実演もあるとのこと、
【参考】
外宮にて風宮の遷宮諸祭儀、甍祭を拝観後に急いで斎宮へと移動した。
(昨夜の忘年会で過ぎる程の御神酒を口にした私は運転を【キタヰの妻】に任せて・・・)
いつきのみや歴史体験館の駐車場から近鉄山田線を右に見ながら区画道路を歩くと前方左手に現場が望める。
【参考】
現場は工事用のフェンスで囲われているが、今日は扉が開けられ、
その隣には、「斎宮復元建築工事見学会 入口」の案内板が立っていた。
躊躇しながら入口をくぐると休憩中の作業員の方々が笑顔で迎えてくれた。現場とは思えない和やかな雰囲気。先へ進むと受付がある建物へと導かれた。
受付で次の資料と記念の絵葉書(斎宮寮庁復元建物のCG画像が印刷された)を受け取ると
まずは、この建物のなかで行なわれていた檜皮葺き作業の見学となった。
完成形はこんな感じで
ここに至るための檜皮作りと檜皮葺きの作業が実演されていた。
こちらは葺くための檜皮を作る(形状、幅・長さ・厚みを整える)作業。見学者と対話しながら・・・。
【動画】 1分56秒(12.3 MB )
これは檜皮包丁、
これらは葺いた檜皮の縁(はみ出し部分)を切り落とすための手斧。
さらに、檜皮作り作業の隣では、檜皮葺き作業が実演されていた。
檜皮を固定するために使用されるのは竹製の釘。
私の手に載せるとこんなサイズ。
右手に専用の金槌を持つと左手には何も持たない。左手はセンサーとなり常に檜皮の葺き具合を探っている。
そうすると竹釘はどうするの? その答えは次の動画にある。
【動画】 13秒(2.7 MB )
この動画から分かるように口にくわえた竹釘を金槌を持った右手で引き抜くと檜皮に挿し金槌で叩く。この作業が繰り返される。口の中には何本の竹釘が入っているのだろう? 30本〜40本は含んでいるそうだ。
こちらで実演していたのは田中社寺株式会社の職人たち。
近くの足場には次のパンフレットは貼られていた。特別な職種と職人の紹介。
紙面上で紹介されていた原皮師(もとかわし)、原木から檜皮を剥ぐ特別な職人だが帰り際にビデオを拝見した。樹齢100年を越える檜から一本の綱と二本の棒だけを使い3mを三段、地上から9mの高さまで登り檜皮を採取する。しかも外皮のみを剥ぎ内皮を残すため、10年後にはまた檜皮を採取することができる。なお、採取を繰り返すとより品質の高い檜皮が採れるようになり、伝統が品質を高める。素晴らしい。
ここで採取された檜皮は最低でも5年間の乾燥を経てから屋根葺きに使用される。とにかく時間が必要だ。
【参考】
檜皮葺き作業が実演されていた建物の片隅には多くの檜皮の束が山積みにされていた。これらが実際に屋根に葺かれる。
また、その近くには木組み・継手と組手を説明する模型が並べられていた。
こちらは今回の特別な工法(鉄塊の柱を使用した鉄骨に木の柱を巻くなど)の説明用模型。
単純に柱を立てるよりも何倍も手間が掛かりそうだ。
見事な仕上がりを手に触れて体感すると驚きの連続!
三本の木が見事に組み上がる。仕上がりは精緻で見事!
こちらは先の方が幅広?
・・・
前のグループが建築現場の見学を終えると次は私達の番となった。ヘルメットを受け取り
まずは正殿へと向かった。
正殿の復元現場では鉄骨が組まれていた。復元された建物はさまざまな行事に利用する予定があるため、強度を重視して鉄骨が採用されたとのこと。しかも前出のように鉄塊の柱、珍しい工法で。
このあと
次のような建物になるように鉄骨には木が巻かれ組み上げられる。
これらの鉄骨は木の衣をまとうと姿は見えなくなる。
続いては、西脇殿へ移動。
先に見学した檜皮葺きの作業のために屋根工事が進められていた。
また、柱に注目するとこちらは庇の柱で鉄骨は入っていない。純粋な木の柱だ。
鉄骨が入っているのはこれらの柱だ。
この図面によると、大虹梁(だいこうりょう)を支える身舎柱(もやばしら)に鉄骨が入っている。
また、壁は4cm厚の板である。ちなみに建築材は杉。
殿の脇には見学用の足場が準備され、
次回、第6回の見学会(2015年1月24日(土)10:00〜12:00)では足場の上から屋根を見ることができるそうだ。必ず訪れよう!
充実した内容に大変満足して見学会場を後にした。
この前には近鉄山田線が走り、その向こうには竹神社が鎮座している。
工事用のフェンスには説明文・・。
復元工事現場を後にした。
【 20141220 の記録 】
- 年末年始の準備、正宮の臨時出口、臨時電灯ほか(外宮)
- 遷宮諸祭儀、甍祭(風宮)
- 遷御に向けて御造営が進む土宮
- 神の手? 元の位置へ戻ったお気に入りの丸い石(外宮)
- 緑豊かな御厩の屋根(外宮)
- 第5回斎宮跡復元建物工事見学会、檜皮葺き作業の実演(明和町斎宮)