2015年05月09日(土) 神田御田植初 おどりこみ、大団扇破り(大土御祖神社) (車、徒歩)
神宮神田(伊勢市楠部町)での神田御田植初 御田植式 にて田植え、団扇合わせを終えると式場を神田の近くに鎮座する大土御祖神社へと移した。
神宮神田での行事を終えた奉仕者は黒木鳥居をくぐり、神田祭場を後に・・・・・。
拝観者も奉仕者の後に続いた。
黒木鳥居の前の道路を西方向へ進むとおかげバスのりばを過ぎ、
櫲樟尾神社の先へと・・・
大土御祖神社の参道入口付近へ先回りすると
神宮神田から大土御祖神社へ向かう列が近づいてきた。
神職に続き、
大団扇が境内へと入った。
さらに囃子、舞人、女性の田植人・・・とプレス。
拝観者の入場制限が解かれたので境内へ入るとこんな場所にて拝観することができた。(感謝)
ほどなく大土御祖神社での行事が開始された。ここでも伊勢市史第8巻-民俗編を参考にしながら紹介することとし、この記事では大土御祖神社での御田植式(おどりこみ、大団扇破り)を紹介する。
神社に到着すると、 神職は神社東側に並び、笛以外の楽人が南側に並び、大団扇も南側に立てる。特に舞人は、特別な言い方をしないというが、「祝入り (ほがいいり)」となる。このことは、ホギイリ、ホコイリなどともいわれている(『伊雑宮の御田植』・『三重県の民俗芸能』)。
大きな木のある所から、笛生が笛を吹きながら二歩ずつ進む。社殿前まで進んだら、他の囃子の人たちと同じ場所につく。笛生の後に舞人が続く。囃子は三パターンの繰り返しである。舞人の動作は、行司取りと同じであるが、ここでは一歩ずつ前進する。社殿前の鳥居をくぐると拝礼して、そこに東西に五名ずつ分かれて順に座って待つ。
この説明にあるように、大きな木のある所からスタートした。
【動画】 1分52秒( 8.9 MB )
【動画】 55秒( 4.4 MB )
続いて、ホコリ。
ホコリ
太鼓の音を合図に立ち上がって始まる。羽団扇を向かいあった相手の羽団扇と交差して斜めに立てる。扇は右手の頭の所にかざすように持つ。祝入りと同じ囃子で、「ハエーヤハエ」といいながら四回前進し左に回って戻る。この動きは常に左足を前にして進む。上半身の動きは、祝入りと同じである。場所が入れ替わり戻って、最後に少し大きな声で「ハエーヤハエー」といって最後の「ハエ」の「エ」を伸ばしていい、そのとき羽団扇を上にする。これを三回繰り返してみな座る。
その後、船漕となり、
船漕
東側の先頭の者が自分の羽団扇を社殿前の地面に東西に置く。西側の先頭の舞人は羽団扇を持って立ち、扇の上に羽団扇の先を載せるようにして一礼し「ハエーヤハエ」といいながら、地面に
置いた羽団扇の周りを左回りに三回廻る。その後扇を背中に挿し、羽団扇を櫓に見立て船を漕ぐ動作を「ハエーヤハエ」といいながら繰り返す。また扇を取り出し羽団扇の周りを左に「ハエーヤハエ」といいながら二回廻って終了する。
どう舞へと続いた。
どう舞
大鼓役と東側の舞人の二名によって行われる。「ハエーヤハエ」の掛け声の続く中、大鼓役が前に出て、大鼓の皮の方を社殿の前に向けて置く。東側の舞人の先頭一名が、扇を腰に挿して出て、屈んで社殿前の大鼓を米俵に見立て重そうに動かして横に向ける。藁縄を取り出し、大鼓の上で藁縄を扇で叩き、藁打ちをし、縄をなう。次に、大鼓に藁縄を巻きつけ、それを叩く。米俵を作る動作という。また重そうに大鼓の向きを元に戻し、立ち上がる。大鼓役が、前に出て重そうによろめきながら大鼓を右肩に担ぎ上げ、「ハエーヤハエ」の掛け声に合わせて左手を拳に握って振りながら、羽団扇の周りを大きく廻る。先ほどの舞人も左手は上下に、右手は左斜め前、右後に振りながらその後に続く。大鼓役が元の場所に大鼓を置く。これは蔵へ納める所を模した所作だという。主な動作を一名がしている間、後に下がっているもう一名も「ハエーヤハエ」のリズムに合わせて、手を振りながら動く動作を小さく続けている。今度は舞人が先ほどの大鼓役と同じように重そうに担ぎ回り、大鼓役が後に続く。もう一度交代して、同じことを繰り返す。最後に大鼓役が元の場所に置かれた大鼓の所に出て、左手で大鼓を取り上げ右手で二回打ちながら、「目出度し目出度し」といって終わる。
どう舞が終了すると、もう一度「ホコリ」が舞われた。
【動画】 1分13秒( 5.8 MB )
【動画】 1分31秒( 7.2 MB )
子どもたちも真剣に見入っていた。
最後の「ホコリ」が終了すると
吹き納め。
笛生の一名が社殿前に出て、腰を落とし、片膝をついて笛を吹く。これを吹き納めという。この笛は、短いパターンを決まった形式で変化させて吹く。
そして、最後に大団扇破り。
それが終わると大団扇を持った二名が社殿前に出る。作長が大団扇を三回ずつ笏で破り、それをもって社殿前の小さな鳥居を出ると、参詣者が大団扇の紙を奪い合う。その紙を持っているといいことがあるという。
先の説明とは少し異なり、大黒および恵比寿の大団扇は個別に鳥居をくぐると、まずは大黒から作長ではなく神職により笏で打ち破られた。
続いて恵比寿。
両者が鳥居前へ戻ると
大団扇は大黒、恵比寿の順で拝観者の中へと差し出された。拝観者が大団扇の紙片を奪い合うと
あっという間に骨組だけになってしまった。
この紙片は財布に入れておくといいことがあると聞いた。
以上で神宮の神田御田植初 御田植式はすべて終了となった。
行事を終えた大土御祖神社や
その奥に鎮座する国津御祖神社には多数の方がお参りしていた。私も・・。
大土御祖神社を後にして
イオン伊勢店へ向かうと、その途中にある楠部町公民館の前には骨組だけになった大団扇が重ねて置かれていた。
また、近くの掲示板にはこのポスターが張られていた。大土御祖神社での行事は「おどりこみ」と記されていた。ここで「おどりこみ」の文字を見たため本記事のタイトルに採用した。
【 20150509 の記録 】
- 神田御田植初拝観の前に(大土御祖神社、神宮神田ほか)
- 神田御田植初 御田植式、団扇合わせ(神宮神田)
- 神田御田植初 おどりこみ、大団扇破り(大土御祖神社)