2016年05月21日(土) 涸沢・上高地 伊勢和紙に描く 金森正巳作品展(伊勢和紙ギャラリー) (車、徒歩)
朝からは二見を巡りその後で伊勢和紙ギャラリーを訪れようと思っていたのだが、二見の湿地帯で足元がドロドロ、ビチャビチャになってしまった。そのため、一度帰宅してすべてをきれいにしてから伊勢和紙ギャラリーへ向かった。
その目的は伊勢和紙ギャラリー(大豊和紙工業株式会社内)で開催されている写真展を体感するためだった。伊勢和紙ギャラリーで開催される写真展はいつも素晴らしく、今回もワクワクとした気分で・・・。
その写真展とはこちら、
涸沢・上高地 伊勢和紙に描く金森正巳作品展
会場 : 伊勢和紙ギャラリー(大豐和紙工業株式会社内)
会期 : 2016年5月7日(土)~6月5日(日) 9:30~16:30
休館日:5月15日(日)・22日(日)・29日(日)上高地・明神・徳沢園・横尾山荘・涸沢の登山道を6度の挑戦で撮影しました。様々な光景、たくさんの思い出、撮影時の情感。 多種の伊勢和紙の表情を通してご高覧ください。
会場内サブギャラリーには世界の屋根ヒマラヤ街道とカトマンズ、伊勢和紙館では大正池の水面を展示します。師事している菊池哲男氏(プロ山岳フォトグラファー)の友情出展があります。金森正巳 / 伊勢和紙プリントの会・伊勢風景写真愛好会・日本風景写真協会・ニッコールクラブ・トピアフォトクラブ
※ 伊勢和紙 IseWashi より引用
涸沢・上高地は私にとっても学生時代に何度か訪れたことがある懐かしい場所でもあった。
伊勢和紙ギャラリーには歩いて訪れることが多いのだが、今日は車での訪問となった。なお大豊和紙工業前の道路は(NTT側からの)一方通行なので注意が必要だ。入口付近の駐車スペースに車を駐めると広い敷地の隅に建つ伊勢和紙ギャラリーを目指した。右手に鳥居を認めると
こちらが伊勢和紙ギャラリー。
玄関の引き戸をガラガラと開けると大豊和紙工業の社長である中北 喜得さんが迎え入れてくれた。玄関付近の天井にまで展示された写真に驚きながら階段を進むと二階のギャラリーへ向かった。今日は金森正巳が在廊されていて他の方に説明されていた。私は側でその話に聞き入っていた。
その後、先客が帰られると私は金森さんを独占してしまった。最初は展示写真について様々に説明していただき、その後は金森さんが語るデジタルカメラに関する熱い話に聞き入ってしまった。こちらに到着したのは午後3時半だったが、外から聞こえたチャイムの音ですでに午後5時になっていたことを知った。一時間以上も話し(聞き)込んでいたことになる。RAWデータの素晴らしさ、伊勢和紙へのプリントの難しさいついては何度も繰り返して語ってくださった。楽しい時間は短いものだ、終わってしまうのが残念なほどだった。
和紙に印刷された雄大な風景や人物は素晴らしいものばかり。この素晴らしさを少しでも紹介できるように雰囲気を撮影したい旨を金森さんに伝えたところ、「好きなだけ撮影してください。」と快く承諾して頂けた。
閉廊時刻を過ぎてしまいこの場を後にしなくてはならない状況だったが、何枚か撮影させていただいた。ここでは金森さんから伺った話を交えながら紹介する。
金森さんは中学生の時にアナログカメラを手にすると、モノクロフィルムでの撮影後に現像や引き伸ばしプリントまで全ての工程を自分自身で行える世界に魅せられていった。それは社会人になっても続いたがフィルムがカラー化されると現像とプリントは自前でできなくなってしまった。結果を他人任せにしかできないカラー写真には物足りなさを感じ、その後は結婚を機に写真からは離れてしまった。そして物心ついた頃からの趣味である釣り(海釣り)にのめりこんだ。
ところが定年退職の声が聞こえるようになった頃、退職後の趣味が「海釣り」だけでは老後の人生が寂しすぎると感じデジタル一眼レフを手にした。そして、ニコン塾などで写真撮影とRAW現像技術を学び始めた。そのなかで山岳フォトグラファー菊池哲男さんと出会い、さらには伊勢和紙でのプリントに出会った。
RAWデータで撮影すること、さらには伊勢和紙にプリントすること、このふたつを手に入れたことによりモノクロ写真時代と同様に撮影から現像、プリントまでの全工程を自分自身で行えるようになった。
デジタルデータの特性を技術的に理解し、その制御ノウハウを身につけてしまうと(朝日と夕日の撮影以外は)アナログには負けないと言い切れるほどになってしまった。
そんな金森さんが撮影した素晴らしい写真がこちら。ぜひとも現地を訪れて御覧ください!
階段を上り、二階のメインギャラリーへ入ると目の前に広がるのがこの大判の二枚。
さらに、左側がこちら。作品にはあえてキャプションは添えられていない。写真に集中できる配慮だ。観る者が思い思いに感じることができる。また、現地で金森さんの解説を聞くと自分が感じた世界との共感や違和感を感じることもできる。楽しい!
このギャラリーには写真だけでなく、こんな小物も興味深い。こちらのスタッフが活けてくれる二輪差。
花瓶が乗っているこのラウンドデスクもいい雰囲気だ。
こちらが右側。左右で世界が異なる。
メインギャラリーを離れてサブギャラリーへ移動するとそこには「ヒマラヤ街道とカトマンズの思い出」と題した写真が所狭しと展示されていた。一枚の和紙に人物を中心とした多数の写真がレイアウトされているこのパターンはなかなかいい! 私好みだった。
ここでも興味深い話を多数伺ったが、あまりしゃべり過ぎない方がいいだろう。金森さんの口から直接お聞きいただければ・・・・。
ヒマラヤを後にすると
階段を下った。踊り場の窓の吊りはまた二枚重ねだった。
そしてこちらが伊勢和紙ギャラリーの玄関。
その天井にはこんな風に展示されていた。真下から首を90°に曲げながら観るのが正しい(?)見方だろう。いつも新しい展示手法を発見する。
何とも楽しい時間だった。また、訪れたい。ちなみに、金森さんは今週は都合でギャラリーには不在とのこと。翌週ならお会いできるはず!
夕日はかなり傾き、
こちらの建物に人影はなくなっていた。終了時刻を超過してしまった伊勢和紙ギャラリーを後にした。
今思い返せば、一部の写真はじっくりと拝見したが・・・、大正池の水面をテーマとした伊勢和紙館の展示は完全に見逃してしまった。再訪せねば。
やっぱり、伊勢和紙ギャラリーにハズレの展示はない。素晴らしいギャラリーだ。
【参考】 過去の写真展ほか
- 伊勢和紙による三輪薫「仏蘭西・巴里」とフォトワークショップ「風」写真展(伊勢和紙ギャラリー) 2016年02月27日
- 高潤生 個展「養怡(ようい)- なごむ心を養う -」(伊勢和紙ギャラリー) 2015年06月13日
- 有田善男写真展 一孔之彩(伊勢和紙ギャラリー) 2015年04月18日
- 戸川覚写真展「阿仁根子」(伊勢和紙ギャラリー) 2015年03月14日
- 「やさしさ」 伊勢和紙による写真と書の展示 (写真:久保圭一、書:久保丈二)の回想 2014年08月10日
- 伊勢和紙による 篠原 龍 写真展「霊場熊野」(伊勢和紙ギャラリー) 2014年05月17日
- 『四重奏 艸・想・爽・創』 四人展(伊勢和紙ギャラリー) 2014年03月29日
- 伊勢和紙館、伊勢和紙ギャラリー(大豊和紙工業) 2011年10月29日
など・・・
【 20160521 の記録(二見巡りの後で) 】
- 涸沢・上高地 伊勢和紙に描く 金森正巳作品展(伊勢和紙ギャラリー)
- 上社では本殿の御垣が新しくなり、山の神も・・・(伊勢市辻久留)
- 夕日に映える、打懸神社(豊受大神宮 末社)の鳥居
- まだ覆屋の中にある朽羅神社(皇大神宮 摂社)