2017年05月20日(土) 2017郷土を歩こう!「古地図で伊勢古市を歩くー麻吉旅館を訪ねてー」 (徒歩)
やっと本日の主目的であった「古地図で伊勢古市を歩くー麻吉旅館を訪ねてー」ツアーに参加するため近鉄五十鈴川駅へたどり着いた。このツアーよりもウォーミングアップの方が長い距離を歩いたような・・・
御幸道路から新しく整備された通路へ入るとこちらに敷かれたインターロッキングブロックは川の流れを模しているような。これは五十鈴川か? 思わずその流れに従って蛇行しながら先へと進んだ。
復刻塗装の急行を舐めるように見学してから受付時間ギリギリで受付を済ませると本ツアーの正式な参加者となった。
今回のツアーは三重県生涯学習センターが主催でそこに所属する講座ボランティアの皆さんが企画運営するものだそうで、正式な名称は
三重のまなび2017・まなびぃすとセミナー 講座ボランティア企画 シリーズ郷土を歩こう!
ブラタモリ案内人・千枝先生と歩く
「古地図で伊勢古市を歩くー麻吉旅館うぃ訪ねてー」
と非常に長いものだった。なので、ここでは「古地図で伊勢古市を歩くー麻吉旅館を訪ねてー」と省略した。
今回の案内人である千枝大志さんは現在、学芸員として中京大学 文学部に勤めているが、頻繁に伊勢を訪れては伊勢にて正しい歴史認識を広め、深めるため各種講演や古文書整理・勉強の指導、さらには史料と現実との関連性をひも解きながらのフィールドワークなどなど幅広い活動をされている。(ブラタモリやゴリ夢中などのTV番組にも出演) 私も伊勢河崎商人館での古文書勉強会に始まり、千枝さんの活動に参加させていただき、大変な刺激をいただいている。
本ツアーの申し込みは先着方式で申し込み開始時刻から1時間半ほどで満員御礼となるほどの人気ぶりだったそうだ。そのため、参加できずに残念だったとの声が多数聞こえた。
そのため千枝さんは参加できなかった方々を配慮し、事前に下見と称したツアーを開催している。強い信念を持って突き進んでいる人であるが、そんな配慮も忘れない優しさを持ちあわせた素晴らしい人が千枝さんなのだ。
【参考】
- ブラッチェise ミニツアー パイロット版〜伊勢古市間之山トレイル編〜 2017年04月15日
私は先着にもれず参加できたのはありがたかった。それにはどうしても参加したい理由があったからだった。その理由とは千枝さんが案内人を担当する。また主目的地である旅館 麻吉は歴史のある旅館だが中へ入ったことがなかった。どうやら今回はその内部も見学できる。さらに、麻吉の女将は私の小学校・中学校の同級生だったからでもある。卒業以来会ったこともなかったので・・・
今回のツアールートは
近鉄五十鈴川駅 → つづら石 → 旅館 麻吉(通過) → 伊勢古市参宮街道資料館 → 寂照寺 → 旅館 麻吉(昼食:大喜の弁当) → 長峯神社前 → 油屋跡 → 大林寺 → 太田小三郎が眠る久世戸墓地の遠望 → 近鉄五十鈴川駅
散策マップについては修道まちづくり会が「弥次さん喜多さんの道 古市参宮街道ガイドマップ」を作成し、ネットで無料公開されている。裏面には各名所の概説も掲載されているので、これを手にすれば独りでも古市周辺を散策できる。なお、こちらのサイトには古市参宮街道と周辺地域 ガイドマップ手帳なるデジタルブックも掲載されている。この2種類があれば鬼に金棒!
【参考】
【近鉄五十鈴川駅】
主催者の挨拶を終えると千枝さんから今回のツアー概要が説明された。
【近鉄五十鈴川駅 → つづら石】
太陽が強く照りつける天気の下、参加者は歩きはじめた。ここでは詳細解説は先のガイド等に譲るとしてほとんどは写真を列挙しておこう。
しばらくは、先に紹介したブラッチise ミニツアーと同様のルートで。
線路を右手に移すと五十鈴ヶ丘団地の中を進み途中で右へ
伊勢自動車道の側道へ出ると坂道を上る方向へ。
交差点までの途中で、麻吉のベストビューポイントを通過。
【つづら石】
伊勢自動車道を越えると側道の脇にはつづら石がまつられている。
【麻吉】
懸崖造りの旅館 麻吉の階段を進むと
渡り廊下の下をくぐって
最上部にたどり着く。本ツアーの主目的地なのであとでじっくりと楽しむためまずはこちらを後にして
【旅館 麻吉(通過) → 伊勢古市参宮街道資料館】
古市参宮街道へ出ると左方向へ。街道はバス一台がなんとか通れる場所もある。そのため、一列での進行となった。
【伊勢古市参宮街道資料館】
ほどなく資料館に到着。
館内へ入る前、館長である世古富保さんの説明をいただいた。
【参考】
館内へ入るとやはり気になるのはこの柄杓、柄杓さえあれば無銭でもおかげ参りができたとは。素朴な疑問だが「この程度の柄杓なら簡単に偽造できるのでは?」 こんな疑問を世古館長に投げかけたところ「勝手に作った柄杓も許容されていたと思いますよ。国策で神道を広めようともしていましたから・・」とのこと。確かに今のようにネット社会でどこでどんな柄杓を売っているのかリアルタイムで検索できれば、これはニセモノだと判断できる(まぁ、実際はネット社会でも真偽を判断するのは難しいのだが)が、江戸時代に本物の柄杓はこれだなどの情報が行き渡っていたとは思えない。柄杓を見せられた側はとにかく柄杓に反応するだけだったのだろう。ごもっともだ。
参加者は館内を興味深く見てまわっていた。
私はこの看板にも興味を持った。この看板が掛けられていたのは先ほど歩いてきた途中にあった蔦井薬舗のものだそうだ。
世古館長はもちろん、千枝さんも説明に忙しそうだった。
資料館から外に出ると
その前に続く坂道をパチリ。下って、上って。伊勢にも段差はあるのだ。
【伊勢古市参宮街道資料館 → 寂照寺】
資料館を後にすると先ほど歩いた道を戻った。
ここがあの看板の蔦井薬舗だ。
【寂照寺】
そしてほどなく寂照寺に到着。日陰を選び、国の登録有形文化財となっている山門の下にて千枝さんの説明が始まった。
解説はガイドブック等に譲るとして
寂照寺を後にした。
【旅館 麻吉】
そして本日のメインイベント会場である旅館 麻吉に到着
麻吉に入る前に、玄関前にて説明があったのは伊勢参宮名所図会 つづら石の図の端に小さく描かれている屋根は先ほど寂照寺で見た建物だ。
【旅館 麻吉】
私も初めてこの暖簾をくぐり、麻吉へ足を踏み入れた。その先には女将、私が同級生であることを告げると「弟さんは○○銀行の偉いさんやなぁ」との言葉が返ってきた。偉いさんなんだ、弟の凄さを実感した。
ここから急な階段で上の階へ向かうと、ここが最上階。麻吉は海抜35mの地に建ち、斜面に建てられた懸崖造りの多層構造でその最上部がこの場所。かつては二見の海も見えたとか?! まさに「伊勢のテッペンの座敷」だ。ここでは千枝さんの講義、と言ってもブラタモリ、ゴリ夢中の裏話を中心に楽しい話題が繰り広げられた。
この建物は聚遠楼(じゅえんろう)とも呼ばれる「伊勢のテッペンの座敷」からの風景はこちら、
今は団地ができているが、昔はもっと素晴らしい風景が広がっていたことだろう。
千枝さんの講義を終えると順番に食事をとるために昼食班と見学班に分かれた。私は先に昼食の赤班だったので急な階段を下ると靴を履いて隣の建物へ移動した。
その階段を上ると先ほどいた座敷をパチリ。
こちらのスペースは宿泊者が朝食をとる場所になっている。
本日のツアーの昼食は大喜のお弁当だった。
食事を終えて外に出ると寂照寺の建物が一望できた。宿泊しないとこんな場所には立てない。今日はいい機会を得たものだ。
また、別の方向へ回りこむと「聚遠楼」を一望できた。こんなビューで見たのは初めてだ。
さらに渡り廊下の屋根も初めて目にする。
食事を終えると他の班と入れ替わり、我々は宿泊者にしか開放されていない蔵の展示場を特別に見学させていただけた。(感謝)
食事だけでなく、体験でもお腹いっぱいとなり麻吉を後にすることになった。素晴らしい旅館だ。いまは家族のみでほそぼそと運営しているそうだが、この歴史の重みに押しつぶされないように頑張ってほしい。
一度は泊まって見たいものだ。
【長峯神社前】
麻吉を後にすると古市参宮街道へ出て、今度は右方向へ・・・。時間もなかったので、長峯神社にはお参りせずに鳥居の前での説明となった。
【油屋跡】
かつて油屋はこの辺りにあったのか?
【大林寺】
そして、最後に訪れたのは大林寺。
【参考】
皆さんは、遊郭「油屋」での刃傷沙汰「油屋騒動」を起こしたお紺と孫福斎をまつった墓「比翼塚」に注目していたが
私は長屋状の建物の左端にまつられているお稲荷さんが気になってしかたなかった。
こちらには桜木町雪峰講の寒中御見舞札がほとんどだが、一枚だけ河崎吉家講のものが貼られていた。今年もものだった。
大林寺を出ると後は五十鈴川駅へ戻るだけ。
【大林寺 → 太田小三郎が眠る久世戸墓地の遠望】
古市郵便局を背に古市参宮街道を離れると民家の一画に
こんなスペースを見かけた。何とも落ち着く場所だ。ベンチも用意されている。誰でも休めるのだろうか?
【太田小三郎が眠る久世戸墓地の遠望】
そして右へ折れると急な坂道へ。曲がる前に説明が入った。遠望できるのは久世戸墓地で、ここには伊勢をつくったとも言われる「太田小三郎」の墓地がある。
太田小三郎さんについては先に訪れた伊勢古市参宮街道資料館の世古館長が概要をまとめてくださっている。
【参考】
説明を終えると坂道を下った。伊勢自動車道および側道をくぐると
先に通ったトンネルを右手に見ながら五十鈴川駅へと戻った。
五十鈴川駅へたどり着いたのは14時ジャスト。まさに予定通りの到着となった。
千枝さん、ボランティアの皆さん、主催者の皆さん、伊勢古市参宮街道資料館の世古さん、麻吉の女将 上田さん、ありがとうございました。また、参加者の皆さんもお疲れさまでした。
次回は自らで巡って見て下さい。
今回は古地図でのタイトルだったか、記事にはあまり登場していない。千枝さんは自前の古文書や絵図を利用して資料を作ってくれたのだけどここでは説明しにくかったので割愛してしまった。
まずは歩いてみましょう。
一緒に歩くだけならおつきあいしますよ!
麻吉旅館で、割烹 大喜の
お弁当。凄いですね!!
宿泊者しか見れない内部まで
見学できて羨ましい!!
いい一日でしたね!!
たかっちさん、おはようございます。
やはり体験は重要です。
麻吉の館内は初めてでしたがタイムスリップした感覚でした。
急ぎ足だったので、これぞ「あっ」という間の時間でした。
今度はじっくりと体感したいものです。
たかっちさんも、ぜひ!